第5章:新しい季節へ
冬が静かに去り、やわらかな春の兆しを感じる季節が訪れていた。学校の中、雪乃と晴人は新たな関係を築き始めている。彼らは時折手を繋ぎ、相手の活動を暖かく見守っていた。雪乃は晴人のサッカーの試合に応援に行き、晴人は雪乃の美術展覧会を訪れ、彼女の作品に心からの賛辞を送る。
友人たちもこの変化を温かく見守っていた。陽菜や颯、彩先輩や龍之介は、二人の成長を喜び、時には応援し、時には助言を与えていた。雪乃の弟の光も、姉の幸せそうな顔を見て、無邪気に喜んでいた。
物語の終わりは、雪乃が美術室で新しい絵を描いているシーンで訪れる。彼女のキャンバスには、春の訪れを告げる温かな色彩が広がっていた。生命の芽吹きを感じさせる色、優しい日差しを思わせる色、彼女の心の中に春が訪れているかのようだ。
その時、晴人が静かに部屋に入ってくる。彼は雪乃の肩に優しく手を置き、「素敵な絵だね。雪乃の春は、本当に温かいね」と言う。雪乃は振り返り、晴人の目を見つめながら微笑む。「ありがとう、晴人くん。あなたがいるから、春がもっと輝いて見えるのかもしれない」。
二人は互いの瞳の中に、これから始まる数々の物語を映し出していた。冬の終わりと共に始まった新たな章は、温かな春の光の中で、静かに続いていくのだった。