第4章:心温まる冬の夜
節11: クリスマスパーティー
節12: 弟
クリスマスパーティーの翌日、雪乃は自宅でリラックスしていた。居間にはクリスマスツリーが飾られ、温かな雰囲気が漂っている。そこへ、小学生の弟・光が元気よく入ってくる。
「お姉ちゃん、昨日のパーティーは楽しかった?」と光が質問する。
雪乃は微笑みながら、「うん、とても楽しかったよ。みんなといっぱい話せたし」と答える。
光はキラキラした目でさらに聞く。「お姉ちゃん、サッカー部の晴人くんと踊ったって本当?」
雪乃は少し驚きつつも、「ええ、そうよ。でも、どうしてそれを知ってるの?」と光に尋ねる。
「学校で噂になってるよ!晴人くんってすごくカッコイイらしいし、お姉ちゃん、好きなの?」と光が無邪気に質問する。
雪乃は光の直球な質問に少し赤面し、「そ、そんなことないよ。ただのクラスメイトだよ」と少し動揺しながら答える。
しかし光は納得しない様子で、「ふーん、でもお姉ちゃん、晴人くんのこと話す時、顔がすごく嬉しそうだよ!」と言い、ニコニコしながら部屋を出ていく。
雪乃は一人残され、光の言葉を思い返す。晴人とのダンス、会話、笑顔…心の中で温かい感情がふつふつと湧き上がる。光の無邪気な視点が、雪乃自身も気づかない感情を浮き彫りにしていた。
この家族とのひと時が、雪乃にとって、自分自身の感情を見つめ直す貴重な時間となる。光の純粋な視線が、雪乃の心に新たな気づきをもたらしていた。
節13:公園
雪が静かに降り積もる冬の夜、雪乃と晴人は近くの公園を散歩していた。公園は雪の白い絨毯で覆われ、夜の静けさが二人を包む。
晴人は雪乃に声をかける。「雪乃さん、雪景色って本当に美しいですね。あなたの絵のように」
雪乃は穏やかな笑顔で答える。「はい、雪は静かで優しく、でも少し寂しい感じがするんです。そんな雪の美しさを表現できたらと思って…」
二人はゆっくりと雪の中を歩きながら、互いに心の内を語り合う。晴人はサッカーへの情熱や未来の夢について話し、雪乃は絵を描くことの喜びや美術への思いを話す。
この共有された時間は、互いの理解を深め、心の距離を縮めていった。晴人は雪乃の繊細で深い感性に魅了され、雪乃は晴人の情熱と純粋さに心を動かされる。
晴人が雪乃の手をそっと握ると、雪乃は驚くが、手を引っ込めない。二人の手が触れ合う瞬間、それまでの言葉で伝えきれなかった感情が静かに流れる。
雪の中を歩く二人の足跡は、まるで新しい道を切り開くように、一つに重なっていく。この夜、二人の関係は確かなものへと変わり始めていた。静寂の中、雪の光が二人を優しく照らし、新しい章の始まりを告げていた。